もう一度君の笑顔を
「中野!」

呼ばれて振り向けば、高野課長だった。


「何ですか?」


「お前、今日予定あるって言ってなかったか?

 帰らなくていいのか?」



そう尋ねられて考えたが思い当たる節が無い。


怪訝に思って課長の顔を見れば、目で合図を送って来た。



あぁ、そうか。友紀の様子を見に行かないのかと言われているんだ。


でも、何でそう言わない?


辺りに気を配れば、仕事をするふりをしつつもこちらの話を聞いているのが分かった。



そうか・・・


あの時、林梨花が来るなと言ったのも、課長が回りくどい言い方をするのもこのせいか。



せっかく落ち着いたこの状況が変にぶり返さない様に気を使ってくれてるんだな・・・。



「あぁ・・・そうでしたね。


 すっかり忘れてました。ありがとうございました。」



そう言って俺は仕事を終えた。






友紀が運ばれた病院に向かう途中、不安に駆られる。



俺が行って、友紀はどう思うのだろう?




友紀がキレた時に喋って以来話していない。


別れた元カレが見舞いに来て喜ぶもんだろうか・・・。



もし、もし友紀に別の男が出来て、その男と鉢合わせしたら?



そう思うと身震いがした。



ネガティブな考えばかりが頭をよぎる。


でも、やっぱり友紀の事が心配で、友紀の無事をこの目で確かめたい。


例え別の男が居てもいい。



とにかく、無事でありますように。



俺は病院へと急いだ。
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