恋宿~イケメン支配人に恋して~
「……、」
一度離れたかと思えば、二度目は深く口付ける。
深夜2時の、彼の部屋。そんな甘い響きのなかで交わすキスは更に甘く、見慣れた薄い唇は想像もしないくらいに、しっかりとこの唇を求めた。
「……ん……ふ、」
なんで、どうして、考えたって分からない。このキスの前では、考える気すら失くしてしまう。
右手は私の顎に触れ、左手は体を抱き締めたまま、そっと離された唇。
ぼんやりと見つめると、こちらを見つめる熱い瞳がある。
「……千冬さん、なんで……」
「……イヤ?」
「イヤじゃ、ないですけど……」
問いかけるものの、返ってくる言葉は答えになっていない。
ダメじゃない、けど、
その言葉の続きを探す私に、千冬さんはふっと笑う。
「……『イヤ』って言えば、やめてやるのに」
そしてまた、触れる唇。そっと重なり、優しく求めるように何度も何度も、触れては離れまた触れる。
『イヤ』なんて、言えるはずがない。だって、触れる度心は音をたててこんなにも彼を求めている。
彼の匂いが、体温が、愛しい。
キスの理由は分からない。けど今はただ、その唇を感じていたい。
溶けそうなくらいの、甘いキスを。