恋宿~イケメン支配人に恋して~





「……ん……」



ふと目を覚ますと、目の前の窓にはカーテン越しに明るい空の色が広がる。



今、なんじ……。

寝ぼけた頭で壁にかけられた時計を見れば、時計の短針は10を指していた。



10時……10時!?まずい、寝坊!!

サーッと引いた血の気に思わず毛布を投げて飛び起きる。……が、そういえば今日の仕事はチェックイン準備からだから、仕事は13時からだったことを思い出す。



「よかった……寝坊じゃないや」



ふぅ、とこぼれる安堵の溜息に、今の一瞬で一気に覚めた目で辺りを見渡し、ふと気付いた。

自分が、自分の部屋に寝ていること。



……いや、間違いではないんだけど。それでいいんだけど。いつの間に戻ってきたんだろう。

昨日は確か、千冬さんの部屋で……千冬さんと、キスをして。



『キス』、その一言に思い出されるのは昨夜の彼の熱い瞳。

彼の甘いキスがあまりにも気持ちよくて、酔いと眠気もあって……そこで記憶がないところから、きっと寝てしまったんだと思う。

……ってことは、運んでくれたのかな。



彼のキスを思い出し、自分の唇にそっと触れる。

……千冬さんとの、キス。

優しく、しっかりとしたキス。思い出すと、ドキ、とまた心臓が音を立てた。



って、今日どんな顔して会えばいいんだろう。

普通の顔?無愛想に?でも下手に無愛想にしすぎると逆に意識してると思われる?

でも絶対顔赤くなっちゃいそうだ……!



うわぁぁと頭を抱え、また布団に潜り込む。



< 186 / 340 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop