恋宿~イケメン支配人に恋して~
「それに俺は、自然と『俺や旅館といたい』って想って側にいてくれてることのほうが嬉しいよ。損得関係なくいてくれてるって、伝わるから」
そう千冬さんは、意識せずこぼした私の言葉をきちんと拾い上げてくれた。
大切なことがすぐ見えなくなってしまう私に、彼はいつも言葉をくれる。
そのおかげで分かったよ。大切なのは、千冬さんといたい気持ち。あの場所を守りたいという願い。
そのためなら頑張れるから、強くいられる。落ち込んでも、いやになっても、その手を離さずにいられる。
「……はい、」
微笑み頷いた私に、千冬さんも嬉しそうに微笑みを見せると私の額に優しくキスをした。
薄い唇の感触が、肌に愛しさを印す。
「それと、宗馬の言うことはいちいち重く受け止めなくていいから。あいつは俺に関して過保護で、わざわざ意地悪い言い方するのも性格がサドなだけ」
「サド……じゃあ、千冬さんの好みのタイプが私と真逆っていうのは」
「それは偶然だ。それにあいつが知らないだけで細い奴とも気が強い奴とも付き合ったこともある」
なんだ、そっか。宗馬さんの意地悪だったんだ……。好みが私と真逆じゃなかった、そのことに少し安心して息を吐く。
「あ、じゃあ……巨乳が好きっていうのは?」
「それは、あー……」
ってそれは事実なんだな……。
視線を逸らし言葉を濁らせるその態度から察すると、私はムッと頬を膨らませた。
「……すみませんね、貧しい胸で」
「まぁまぁ、別に好きなわけじゃない。付き合う相手にそういう人が多かったってだけだ」
「へー」
「信じろって。理子なら、なんでもいい」
私なら、そう言われると嬉しくて、膨らませていた頬がつい緩みそうになる。
そんな私を見て笑うと、千冬さんは顔を近づけそっと唇にキスをして、私をぎゅっと抱きしめた。