泡沫 〜白虎編〜
亜理亜が、ふとため息を吐いた時、頭上に影ができた。

思わず顔を上げると、そこにはクラスメイトの武田信幸(たけだのぶゆき)が亜理亜を見下ろしていた。

亜理亜が思わず、

「なに?」

と問えば、信幸は優しく目を細めながら

「次行く場所決まったって。藤城さんも行こう。」

そう言いながら、手を差し出した。

亜理亜はその手を取る事なく、そう。とだけ返すと立ち上がり、信幸の横を通り過ぎていった。

それを見ていたグループの面々は口々に

「藤城さんに声かけれるってお前すごくね!?」

「対応がクールでやっぱりかっけー!」

「信幸が優しくしたのに、あの女なんなの!?」

など、様々な感想を述べた。

信幸は、そんな様々な言葉を気にする様子もなく、口端を軽く上げると

「たく、相変わらず気の強ぇ女だな。」

と、周りには聞こえない声で呟いた。
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