ミントグリーン~糖度0の初恋~
「まずは、謝らないといけない。
考える時間がほしいって言ったのに、
実は……考えてないんだ」
俺の言葉に千波の瞳が揺れる。
俺は心を落ち着けるようにコーヒーを一口飲み込んでから続けた。
「考える必要なんてなかった。
答えはずっとずっと前から出てたんだ。
ただその答えを伝えるには聞いてもらわなきゃいけないことがたくさんあって…。
それを伝えるのが怖かったんだ。
どうしてもその勇気を出せなくて、
時間がほしいなんて言って先伸ばしにしてた」
「どういうこと?」
千波は戸惑っているようだけど俺から目を逸らさない。
だから俺も千波とまっすぐ視線を繋ぐ。
「初めて会った時から千波は俺にとって特別だったよ。
だからずっと繋がっていたいって思って、それには兄貴みたいになってやればいい…って思った。
俺たちが兄妹みたいに繋がれればずっと一緒にいられると思って、
それなら完璧な兄貴を目指そうと思った」
「うん……」
千波は小さく頷いただけだったけど、本当は続けたい言葉があったのかもしれない。
千波は始めから俺に『お兄ちゃん』の役割を求めていなかったのだから。
「千波の前ではいつもカッコいい兄貴でいたくて、そうなれるために頑張ることも全然苦じゃなかった。
でもね、そうやっているうちに千波には俺の弱いとことか、カッコ悪いとことか、絶対見せれねーよな…って考えるようになってーーー」
俺はもう一度コーヒーを口にする。
そして、カップをテーブルに置いて、回転椅子を少しずらして千波との距離を縮めてから言った。
「こっからが長い話になるんだけど聞いてね?」