モラトリアム



「熱い女で悪かったわね!冷めてるアンタよりよっぽどマシだわよ」



もうここが職場だなんて事は頭になくて、自分の言いたい事を言って営業部を出た。


頭が冷えたのは自分の席に戻ってから。


あー…やってしまった。


頭を抱えていた所に課長が私を呼ぶ声。話を聞けば、実は課長が営業部長から処理を頼まれていた事をすっかり忘れていたらしい。


お願いだからそういう事は早く言って欲しい。お陰で私はかかなくてもよい恥をかいた。


昼休み。同僚に食堂で食べようと誘われたが、注目の的になりそうだったので断った。


そして私はパンを片手に、人目を避けてビルの屋上に向かった。


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