モラトリアム
「あー…今日は最悪だ」
「俺のせいですか?」
誰も居ないものと思っていたのに、聞き覚えのあるその声に私の気分はさらに落ち込む。
後ろを振り返れば、コンビニ袋を提げた西園が笑いながら近寄ってきたかと思ったら、私の隣に腰をおろした。
「何の用?馬鹿にしに来たの?」
「違いますよ」
「じゃあなによ」
「興味があります」
は? 興味!? なんの興味よ。
私の顔が納得していなかったようで、彼はさらに言葉をつけ足した。
「奈保先輩に興味があるんですよ」
「……」
「ふふ、照れちゃいました?」
「なによそれ。その態度が馬鹿にしてるって言うのよ!」
またも熱くなってしまった私は、ご飯も食べずにその場を飛び出した。