一途なあなたが好きでした
「でしょ? 晴菜は良い子でしょ?」
「ああ」
「あの、瀬戸さん。この子はただデコピンされたくないだけ……」
「そうだ。晴菜ちゃんのお母さんも良い子だね。ルールをちゃんと守って偉いよ」


ポンッ。


晴菜を撫でていた瀬戸さんの手が私の髪を撫でた。


「あの……」
「あっ、すいません。つい生徒に見えたもので…」


瀬戸さんはすぐに私から手をどけると気まずそうに視線を下に落とす。


「いえ。気にしてませんから」


化粧をしてもかなり幼い私の顔と140cmしかない身長は気にしたって、もうどうしようもないのだから。


それに……なんか……嬉しかったから。


撫でられたその時、心にひっかかっていただけのあなたが微かに揺れた気がした。


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