群青色の、空を見上げて。
『ごめん。ちょっと遅れる。すぐ行くから、カフェん中入って待ってて』
その時、救急車のサイレンの音を聞いて、胸騒ぎがしたのは、虫の知らせだったのだろうか。
まさか、まさか、という嫌な想像が止まらない。
そんな、まさか、蒼に限って、そんな――――――。
はやる気持ちを必死に抑え、わたしはカフェを出た。
手は冷えているのに、汗でぐっしょりだった。額にも、同じように脂汗をかいていた。
100メートルくらい先に、人だかりができているのに気が付いた。
その、かすかな隙間から、ぺしゃんこな車が見えた。必死で誰かの処置をしている救急隊員の姿も。
バクバクと、心臓が大きく鳴り始める。
「蒼、蒼、蒼―――」
違うでしょ、ねえ、いつもみたいに、声かけて。

