群青色の、空を見上げて。
――二年前の、クリスマス。
わたしは、蒼―――わたしの恋人だった人―――と待ち合わせをしていた。
カフェ『Spring』の前で。
その日は、比較的温暖な地域のT市にも、積もるほどの雪が降った。
雪に慣れていないT市民は、タイヤにチェーンを付けたりと、慣れない作業を行ったため、交通渋滞が起きた。
しかし、わたしの家も、蒼の家も、『Spring』に歩いていけるだけの距離だったから、交通渋滞には、あまり関係がないはずだった。
関係がない―――はずだったのだ。
受験勉強の息抜きにと計画したデートだった。
その日は土曜日だったので、集合は朝の十時だった。
わたしは九時五十五分に『Spring』の前に着き、前髪のチェックをしたり、単語カードをめくったりしていた。
十時になった。
それでも、彼は来ない。
まあ、蒼は多少マイペースな部分があったため、少しぐらい集合時間に遅れることは、別におかしくなかった。
十分が経過した。
もしかしたら、わたしが集合時刻を勘違いしているのではないかと、蒼と約束をした時のメールを読み直した。
あれ、と、わたしはひとりごちた。
よくよく見ると、受信箱に、メールが一通届いていた。