矢野くんが横暴すぎるんですが!
女子達は「ふざけんなよ!」とか言いながら出て行った。
ふざけてないし。めちゃくちゃ真面目に受け答えしたじゃん。

カーディガンのポケットから鏡を取って覗き込む。

「うん、普通に可愛い」

今日髪型ダメかと思ったけど、大丈夫だわ。
少なくともさっきの女子達には私より可愛い子はいなかった。

―ガチャッ

扉が開く音がして、反射的に振り返る。
入ってきたのは物凄くキレイな顔立ちの男子生徒だった。
私は、というよりこの学校の人は皆、この人のことを知ってると思う。

矢野隼人(ヤノハヤト)くん。
この学校で一番キレイな顔の持ち主。
そんな人と目があってしまった。

が。

だからどうしたって感じ。キレイだとは思うけど。それ以外は別に何とも。
矢野くんも私なんて気に留めてない。
思いっきり目逸らしたしね。ごく自然な感じで。
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