ドラマチック・ロマンス
「あのな、花屋やってたからと言って、モテるとは限らないからな!」




斗真は、「フーン」と興味なさそうな返事をして、俺を見ようともしない。




「だから、兄ちゃん。クリスマスも予定ないんだ? さっみしーねぇ!」




・・・・コイツ、しばきたい!!





なんでこんなに生意気なんだよ!ったく・・・伊月に似たのかな・・・・




「なんも言わねぇってことは図星か?」




「・・・・・。」




図星過ぎて、斗真に歯向かうことさえ出来ねぇって、クソー!!



まぁ、クリスマスも毎年、仕事だから全然構わないのだか。





「杏ちゃんとは、もうこれっきりなのか?」




「俺、杏ちゃん好きだったのにな。」と元カノの名前まで出してきた斗真。



俺が、一昨年まで付き合っていた元カノだ。杏は、高校の同級生であり、サッカー部のマネであった。




「もう、接点ないね。」



俺が言うと斗真は、「そっかー。」と残念がっている。





杏は、偶然、この花屋に買い物にきたお客さまだった。


高校の頃好きだったと、顔を真っ赤にさせて、告白してくれる杏が必死過ぎて、気がつけば告白をオッケーしていた。


・・・・が、お互い忙しいこともあり、中々付き合いが進まずに終わってしまったんだけど。




杏とは良い思い出ばかりある気がする。
お菓子作りが好きな杏は、いつも俺や、家族に手作りのお菓子を持ってきてくれるような奴だった。




「じゃあ、中学生の頃は? 好きな人いた?」


・・・・斗真って、この手の話好きだよな。


「いたよ、すげー大好きだった奴。」


「杏ちゃんよりも?」



俺は、静かに頷いた。

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