【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「じゃあ、私はこれで……」
私は教室に帰ろうと立ち上がる。
でも拓磨くんに腕を掴まれた。
「なに帰ろうとしてんの」
「え……?」
「もう少し、そばにいてよ」
「えっ!?」
い、今なんて……?
そばにいてよ、って言った……!?
な、なんで!?
「え、っと」
バタン―――
「た・く・まー!!!」
すると、急に屋上の扉が開かれ、誰かが入ってきた。
拓磨くんはその瞬間、腕を離した。
「チッ……来たか」
勢いよく屋上に入ってきたのは、クラスメイトの……。
名前は確か、そう。
多田祐輝(ただゆうき)くん。
クラスのムードメーカーで、女子から人気の男の子だ。