【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「じゃ、私はこれで……」
「え、もう美憂ちゃん行っちゃうの?」
私が屋上の扉まで行くと、多田くんが言った。
「だって単位落としたら困るし……」
留年なんてしたらシャレになんないし。
「そりゃそうかー、美憂ちゃんは拓磨とは違って真面目だもんな」
「黙れ祐輝」
この2人、相当仲いいんだな。
見ててよくわかる。
「じゃあ……」
ゆっくり屋上の扉を閉めて、教室へと走った。
はぁ、死ぬかと思った。
いやてか1回死んだようなもんだよ。
だって、あの学校一の不良の彼女にされちゃったんだよ?
私ってほんとツイてない……。
なんでよりによって学校一の不良にラブレター拾われちゃったんだろ……。
今さら、アナタのカン違いです、なんて言えないし。
言ったらきっと殺される。