【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「うーん、と。ここなら誰もこないかな」
ひと気のない、屋上のすぐ下の階段までくると、多田くんが真剣な表情で私の方を見る。
「早速なんだけど」
「うん」
私は大きくうなずいて、息をのんだ。
「拓磨は小さい頃、母子家庭だったんだよ」
「え?」
母子家庭、だった?
なんで過去形?
「離婚してから母親は働きながら、女手一つで拓磨を育てていたらしくてさ。でも、拓磨が3歳のときに警察に捕まってさ」
「け、警察!?な、なんで……」
「……拓磨の母親は虐待をしてたんだ」
「ぎゃく……たい」
虐待という言葉に、私は驚きを隠せなかった。
実の親が子どもに虐待をするなんて……。
考えられないよ……。