【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
頼んだぞー、と先生が去っていき、私はホウキを持って掃き始めた。
「さっさと終わらせて帰ろ……」
でも、地味に広い下駄箱。
もうイヤになっちゃうよ。
黙々と掃いているうちに生徒はいなくなって、私がホウキで掃く音だけが下駄箱に響く。
「……はぁ」
やっと3分の1掃けたところで、ため息をつく。
あぁ、帰りたいよ~~……。
いつになったら終わるんだろう、これ。
「美憂ちゃん」
すると、爽やかでクリアな声が背後から聞こえる。
振り返ると、そこには星司くんがいた。
「あ、星司くん……まだいたんだね」
「委員会の仕事しててさ。掃除、手伝うよ」
「え!いいよ!」
「そんな遠慮しなくていいよ。どうせ帰っても暇だしね。美憂ちゃんと話してる方が楽しいし」
そう言って、掃除箱からホウキを出す。