【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「で、でも……」
「手伝わせてよ、ね?」
そんなにキラキラした笑顔でお願いされたら、断れないよ。
「じゃあ、お願いします……」
「りょーかい。ここまで掃いたんだよね?じゃあ、ここから向こうを掃けばいい?」
「うん!」
あぁ、学園の王子様に掃除させるなんて私、神様にまた怒られそう。
星司くんはなんでそんなに優しいんだろう……。
星司くんは掃きながら、腕時計を頻繁に見ていた。
もしかして、急いでるのかな!?
「星司くん、用事とかあるなら全然、帰ってもいいんだよ!?」
「いや、違うんだ。この時計、ちょっと狂ってるなぁと思ってさ」
そういうことか。
ならいいんだけど……。
「そういえば今日、彼氏くんは来てないの?」
「あぁ、うん」
「ケンカでもした?」
星司くんが心配そうに私の顔を覗き込む。