【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「で、今日は葵ちゃんと一緒に学校にきたの?」
「ううん、葵ちゃんに送り迎えはもう少し待ってって言われたんだ。お兄さんに話をしたいからって」
「そっか……なるほど。お兄ちゃんに認めてもらえるといいね」
「うん!今度ちゃんとお兄さんに挨拶しようと思うんだ。なんだか結婚前の挨拶みたいだけどさ」
笑いながら言った多田くんは、なんだか少し不安そうだった。
でも、きっと大丈夫だよね。
多田くんの葵ちゃんへの気持ちは、誰よりも強いもん。
お兄ちゃんもきっと、わかってくれる。
私はそう信じている。
「……あ!葵ちゃんだ!葵ちゃーん!!!」
多田くんの大きな声が廊下中に響き渡る。
その途端、廊下にいた生徒が多田くんの方を見てから、向こうから歩いてくる葵ちゃんを見た。
「……美憂、行こうぜ」
「うん、そうだね」
少し恥ずかしくなって、私と拓磨くんは逃げるように教室に入った。