【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
自分の席で教科書類を机の中に入れていると、葵ちゃんと多田くんが教室に入ってきた。
「葵ちゃん、今日も可愛いなぁ~」
「もう!大きい声でやめてくれる!?」
「怒っても可愛い!葵ちゃん可愛い!あー可愛い~~!!」
「黙ってて、ほんとに」
わぁ……2人だけの世界って感じ。
なんだかうらやましいな、多田くんみたいに愛情表現をしてくれる人。
まず、拓磨くんが多田くんみたいにデレるなんて想像できないけど……ね。
チラッと拓磨くんの方を見ると、バッチリ目が合った。
「どうかした?」
「ううん、ただ、拓磨くんが多田くんみたいにオープンに愛情表現するところは想像できないなーと思っただけだよ」
「……いちいち言わなくても、俺は美憂のこと常に可愛いって思ってるし」
「……っ」
拓磨くんの言葉に胸がじんじん熱くなってくる。
もうっ、不意打ちはズルいよ、拓磨くん。
恥ずかしいのか、目をそらす拓磨くんに私の胸はまた音を立てた。