【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?





「……あ!やべ、朝練に遅れる!!じゃ、いってきまーす!」



「いってらっしゃい」



日向は慌てて家を出ていった。



私は再び、味噌汁を一口飲む。
誰もいない食卓には、私の味噌汁を飲む音しか聞こえない。



静かだな……。
いつもなら拓磨くんと楽しく話しながら、ごはんを食べるのに。



胸が少しきゅうっと苦しくなる。



それから、準備をすると、いつもより少し早い時間に家を出た。



気がつくと校門をくぐっていて、いつの間に……と思っていると、急に後ろから背中を押される。



「わぁ!……って、葵ちゃんかぁ、ビックリしたぁ」



振り返るとそこには葵ちゃんがいた。



「おはよ、美憂……って、矢野拓磨は?」



「拓磨くん、体調不良でしばらく学校休むって」



「ふぅん……体調不良か。はやくよくなるといいね」



「うん……」



やっぱり、拓磨くんがいないとつまんないよ。
私には拓磨くんが必要なんだ。
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