森田当麻の奇妙事件簿



雨が降り続いていた。

男は誰もいないことを確認し、ガレージの隅に置いてあった灯油缶の中身をアスファルトにまいた。

灯油が辺り一面に広がる。

男は上着のポケットからライターを取りだし、火をつけた。

暗いガレージが火によって、照らされる。

「終わりだ……」

細く笑んだ、そのとき。

「やっぱりあなただったんですね……」

ガレージのシャッターがゆっくりと開いた。

雨に濡れ、シャッターの向こう側にいたのは……。
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