裏道万屋の事情
「ここに住んだって構わないんだよ??別に僕達は全然気にしないし――。」

『うーん…でもやっぱり…。』

「まぁ、もちろん無理にとは言わないけど。…心配なんだよ、菜子ちゃんみたいな若い女の子が外で一人で生きていくことが。…輝も、僕もね。菜子ちゃんさえ良ければ歓迎するよ??」

『弘さん………。』


何て良い人達なんだろう―――

あの両親達にこの弘さんの言葉、大音量でそっくりそのまま聞かせてやりたいわっ―――!!!!


『ありがとうございます。考えておきます!!朝食ご馳走様でした。ちょっと出かけてきますね。』

「菜子ちゃん…。」

『…また戻ってきます!!』

あたしがそう言うと、弘さんは頬を緩めた。
そして、


「行ってらっしゃい。」

あたしに笑顔を向けながら、そう言ってくれた。


『…行ってきます!!!!』


何だか…本当にここが家だと錯覚してしまいそうだ。

そんなこと言ってくれちゃったら………





――本当にここに居候させてほしくなっちゃうよ――…
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