裏道万屋の事情
輝明と諒が美空岬にたどり着くと、崖から海に飛び込んでいく人影が見えた。



「あいつ、まさか…!!」

「輝明さん…ってことは……菜子はもう下に――!!!!」





「はぁ…はぁ…」



2人の後ろに人の気配を感じ、2人は後ろを見る。



「あれ…あんたは…」

「今のって…何で……何で海に飛び込んだんですか…?!」



呼吸を整えながら、遠目に見えた崖から飛び込んでいく人物にについて雛乃が2人に尋ねる。




















「あいつは…嵐は、あそこから突き落とされた泳げねぇナオ……いや、叶 菜子っていう女を助けに行ったんだ。」

「………え…??ナオが…女の子……??」

「ちょっと訳あって、菜子にはここでは男装して俺の仕事を手伝ってもらってんだ。例え何があろうが、覚えてなかろうが…嵐にとってあいつが大事な奴ってことに変わりはねぇ。だから失う訳にはいかねぇんだよ。」

「じゃあ……嵐が忘れている大切な人って――」



3人は崖の方を見つめる。










「――あぁ。あいつ…菜子のことだ。」
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