裏道万屋の事情
あたし……
このまま海に落ちて、溺れて…
死んじゃうのかな…??
崖から落ちている間が、やけにスローモーションに感じた。
まだまだあたしにはやり残したことがあるのに。
高校だってまだ途中だし、それから大学に通って、就職して…
いや、それとも家の道場継がされるのか??
それに――
このまま嵐に一生思い出してもらえないままあたしは死ぬの…??
嫌だ…
そんなの嫌だよ…!!!!
『嵐ーっ!!!!!!』
「おいあんた!!!!」
え……………??
そんな呼び掛けが聞こえた。
上から誰かがあたしに向かって凄い速さで落ちてくる。
逆光で誰だかよく分からない…。
そしてその人はあたしに追い付き、あたしのことをぎゅっと抱き締める。
その人物は――
『あら、し………??』
何でここに嵐が…??
来てくれたの…??