裏道万屋の事情
『何で…嵐…あたしを助けに来てくれたの…??』

「…何でかは分かんない。気付いたら身体が勝手に動いてた。」

『そっか…思い出してくれた訳じゃないんだ…。』



また心が少し痛む。


それでもあたしは安心感を覚えた。



「………けど、」

『…??』




















「絶対、あんたを死なせないから…!!」

『!!』





そして、その言葉を聞いた直後――





――ザッバーーーン!!!!――





あたしと嵐は海の中に勢い良く落ちた。















「菜子!!嵐!!」



凄い音が聞こえて、輝明と諒は崖から下の海を覗き込む。



2人の姿はどこにも見当たらない。



「…………。」



放心状態の諒。


輝明はそんな諒の肩に手を置く。



「…大丈夫だ、嵐が一緒なら。あいつに任せよう。――俺達は…」





――バキッ!!バキッ!!――





輝明は拍子抜けしていた2人の男を殴り飛ばす。



「こいつ等…連行するぞ。」



輝明は黒い笑みを浮かべる。



「………はいっ…!!」



――嵐を信じよう。


そう思った諒は輝明と共に男を捕まえ、店に戻ることにした。





雛乃は複雑な表情で崖の方を見つめていたが、踵を返して輝明達の後についていった。
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