私ノ夢物語〜短編集〜
届かないと分かっているけれど,その桜に願いを込めて吹き飛ばした。
ーー『いつか貴女に会えますように』
ただそれだけの願いを乗せて桜は飛んで行った。
僕の瞳から冷たい物が頰に伝っていく。
「…僕が泣いている……?」
そんなに悲しい事なのかな?
あぁ,そうか……僕からすれば君がいない事が悲しい事なんだ。
「あーもう!」
僕は自分の髪を掻き毟る。
このままじゃ,自分が未練がましく思っちゃうじゃん。
君が隣に居ないのはもう慣れっこなはずなのに……
なんで,心がぽっかりと穴が開いてしまっている感覚になるのだろうか?
やっぱり君が僕の隣にいないから?
君が僕の隣で笑わないから?
君が微笑まないから??
だから僕は壊れていくの……?
あーもう訳が分からなくなってくる!!
「君が大切なんだよ……僕には」
ーーキーンコーンカーンコーン……
4時限目の終了のチャイムが鳴り響く。
……購買に行ってこよ。
僕は扉を開けて,購買に向かう。
「いつものパン頂戴」