私ノ夢物語〜短編集〜

僕は目を閉じていると屋上の扉が開く音がした。


ーーギィィィ……


「やっぱり此処に居たか……」

「ん…?あぁ平助か……」

「お前さ,土方さんの授業を受ける気ねぇのかよ」

「当たり前じゃない」

屋上の扉を開けたのは平助で,僕の隣に来て座った。

幹部の皆は前世の記憶がある。

「はぁ…」

「平助は行った方が良いんじゃない?」

「なんでだよ?」

「点数,やばいんでしょ?……赤点補習になるよ?」

「うっ……」

「土方さんの雷が落ちる前にね〜」

僕はひらひら〜と手を振ると眠る。

「……はぁ」

平助は溜息をした後,屋上から出て行き,屋上に残っているのは僕1人だけになった。

「……」

こんなにも切ないのは何故だろう……

やっぱり,隣に君がいないからなのかな?

起き上がって,大きくて何処までも広い青く澄んだ空を見上げた。

ーーザァァァ…

強く風が吹き,桜が風に乗って何処かへ向かうように流れていく。

手を開くと僕の掌に桜が乗った。

< 41 / 45 >

この作品をシェア

pagetop