私ノ夢物語〜短編集〜
僕は目を閉じていると屋上の扉が開く音がした。
ーーギィィィ……
「やっぱり此処に居たか……」
「ん…?あぁ平助か……」
「お前さ,土方さんの授業を受ける気ねぇのかよ」
「当たり前じゃない」
屋上の扉を開けたのは平助で,僕の隣に来て座った。
幹部の皆は前世の記憶がある。
「はぁ…」
「平助は行った方が良いんじゃない?」
「なんでだよ?」
「点数,やばいんでしょ?……赤点補習になるよ?」
「うっ……」
「土方さんの雷が落ちる前にね〜」
僕はひらひら〜と手を振ると眠る。
「……はぁ」
平助は溜息をした後,屋上から出て行き,屋上に残っているのは僕1人だけになった。
「……」
こんなにも切ないのは何故だろう……
やっぱり,隣に君がいないからなのかな?
起き上がって,大きくて何処までも広い青く澄んだ空を見上げた。
ーーザァァァ…
強く風が吹き,桜が風に乗って何処かへ向かうように流れていく。
手を開くと僕の掌に桜が乗った。