On Your Mark
「航空機を借りたらどうする?

北はもう少しで限界があるから、どちらかの領域に入っていかなければいけなくなるぞ」


僕たちが持っている地図の上のほうが北だが、もうかなり上まで来てしまっている。

地図の一番上まで行ってしまったら、そこは世界の端であり、俺たちにとっては行き場所が無くなってしまう。


「この先に・・・」


イビルは地図を上のほうに指でなぞり、地図を通り越して真っ直ぐと僕たちの前方方向を指した。

その先には目立ったものは何もないが、それでもイビルはそこを指していた。


「もっと広い世界がある」


「はっ」


その言葉が信じられないというよりは、突拍子もないことを言われたように僕とレイは声を上げた。


「いいかい、僕たちの世界はこの地図だけじゃないんだ。

こんなのは世界のほんの一部にしか過ぎない。

ここを越えれば、他の国がある、違った世界がある。

そして、戦争は・・・ない」


「まじかよ」


「嘘だろ?

座学で習ったことないし、聞いたこともないじゃん」


「僕は見たんだ。

古い書物だけど、確かにここに行けば、その世界に通じる道がある」
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