On Your Mark
こんなにも力強く語るイビルを僕は初めて見て、その姿に圧倒されてしまっている。

それはレイも同じだったようで、二人は言葉を出せずにただ突っ立っていた。


「知っているかい?

僕たちの上には何も無いけど、世界にはソラがあるんだ。

もちろん、この子のことじゃないよ」


イビルはしゃがみ込み、地面に『空』と書き込んだ。



見慣れない文字に僕たちは目を見開いて覗き込み、ソラはそれを嬉しそうに指でなぞった。


「そこにはこう書いてあった。『

空は見たこともないような綺麗な色で、見たこともないような大きさだった。

この世にこんなにも美しいものがあることを、我々は知らなければいけない』ってね。

だから、きっと空に行けば・・・」


「ソラは飛べる」


「何だかややこしいね。

でも、きっとそうだと思う」


「けど・・・」


「静かに」


イビルの声で僕たちはしゃがみ込み、視線を合わせる。

すると、西からペスチニア軍の航空機が先程指したイビルの場所と寸分違わぬ所に着陸し、中からは二人の兵士が出てきた。
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