心の裏側と素肌の境界線を越える為に
「どうして…あいつが」

美佳の背中が見えなくなる頃、やっと俺は声が出た。

首を傾げたところで、理由はわからなかった。

「さんざん…学校でかけてるからかな」

まあ…あまり深く考えることなく、俺は改札に背を向けて、家路へと足を進めた。




俺とは逆に、美佳はプラットホームに出る前に足を止めて、振り返りそうになった。

「どうだったの?」

乗り越し精算機の影に、隠れていた総司が顔を出した。

「一応…言うだけは言った」

少し悲痛な表情をしている美佳を見て、総司はたまらなくなった。

だけど、どうしょうもできないことはわかっていた。

美佳が、どれほど太一を好きなのかも。


「そっか」

その言葉くらいしか…総司は言えなかった。

お節介な正利なら、ずけずけ言うかもしれないけど。
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