心の裏側と素肌の境界線を越える為に
そのチラシを見て、俺はがくっと肩を落とした。

もう断れる話ではなくなっている。


(周りから…固めやがったな)

強行手段を行った美佳を、恨めしく思った。




「じゃあな」

それだけ言うと、美佳は俺の横を追い越し、改札の中に入った。

「待てよ!」

俺は振り返り、 美佳の背中に叫んだ。

「何の曲をやるんだよ!」

俺の声に足を止めた美佳は、振り返ったが、

俺の目を見ずにこたえた。

「アル・クーパーのジョリー」




「え!?」


美佳の口から出た…その曲名に、俺は凍りついた。

「す、好き…なんだろ?」

そう言うと、美佳は前を向き…走り出した。


俺は、美佳からあの曲名が出るなんて…予想もしていなかったから、

ただ…驚いてしまって、しばらく声がでなかった。
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