心の裏側と素肌の境界線を越える為に
「馬鹿ね..」

俺の背中を見送りながら、片桐は自分に向けて呟いた。

今日だけよ...と言いたかったのに。

いえ...

本当は、行かしたくなかった。

視聴覚室に背を向けて、歩き出す片桐の頬に涙が流れた。

その涙を指で拭い、確認した片桐は...笑った。

「ほんと....馬鹿...」



後悔しながらも、片桐は嬉しかった。

まだ...涙を流せる自分に。
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