心の裏側と素肌の境界線を越える為に
片桐は、俺から視線を外すと、

「橘さん...泣いてたね」

少し深呼吸し、

「今回のライブは、橘さんがいたから...歌えたんでしょ?」

俺に顔を向け、目を見つめた。

「....」

その瞳の強さに、俺は息を飲んだ。

「行ってあげて」

「片桐」

「ちゃんとお礼をいわないと」

俺は、いつもと違う片桐の瞳の色に魅了され...断ることができなかった。


「わかった」

頷いた俺は、片桐に背を向けて、走り出した。
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