心の裏側と素肌の境界線を越える為に
腕を組み、校舎を出入口の前で立つ美佳は、真っ直ぐに俺を見つめ、

「かけてたんだ…。太一が、ここに来るか…来ないか。もう後、10分待って来なかったら、おれは帰ってた。そして」

ゆっくりと近付いて来た。

「もう…あきらめるって」

「え」

何のことかわからない俺の反応に、美佳は顔をそらし、

「片桐さんが…来てたよね」

「ああ…」

話題が変わった。

美佳は唇を噛み締めると、顔を上げた。

「あの曲も片桐さんの為だったんだ」

美佳の瞳が、涙で揺れていた。


ああ…そうか。

俺は心の中で、頷いていた。

この時が来たんだと。
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