心の裏側と素肌の境界線を越える為に
俺は、片桐をさらに抱き締めると、

「俺は、歌だけじゃなく....すべてに対して、片桐だけを幸せにしたい」

「え」

唐突な俺の言葉に、抵抗していた片桐の動きが止まる。

「どんなに悲しいことがあっても...最後は幸せに変えたい」

俺は片桐の肩を掴むと、ゆっくりと離し...目を見つめた。

「片桐となら...それができる気がする」

俺はじっと片桐の瞳を見つめた。

(あ...)

俺は気付いた。

その瞳の奥にあった影がなくなっていることに...。

ただ...綺麗で、透き通った宝石のような瞳が、あるだけだった。

涙で、濡れているけど...。


「愛してる」

思わず...口から出た。

突然の言葉に、片桐は驚き、

「馬鹿」

と言った。

俺は、堪らず....片桐の唇を塞いだ。
< 244 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop