心の裏側と素肌の境界線を越える為に
「は、は、は」

俺は、全力で走った。

片桐のもとへ。

思った通り、駅ではなく....裏口から帰っていた。

いつもは凛として、後ろ姿からも気品が漂うのに、

遠くから確認できた今日の片桐は元気がなく見えた。


「片桐!」

走りながら、大声で叫んだ。

片桐の体が、ビックとなり....ゆっくりとこちらに振り向いた。

俺の姿を確認すると、大きく目が見開いた。

「片桐!」

俺は片桐に飛び込むように、抱きついた。

「片桐...」

ぎゅっと抱き締めた。

「か、神谷くん...」

片桐は慌て、

「どうして...」

俺を押し退けようとするけど、俺は離れない。

「た、橘さんは、どうしたの?」

「もう終わったよ。それに...あいつなら大丈夫」

俺は、片桐の髪の毛に顔を埋めた。

「大丈夫さ」

片桐の匂いを嗅ぐと、安心する。
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