心の裏側と素肌の境界線を越える為に
規則正しく鳴り響くチャイムを聞きながら、

俺は立ち上がり、

後ろに向かって振り返ろうとした。


「太一!」

突然、前から声をかけられた。

反射的に振り向くと、美佳がいた。

「たまには…いっしょに帰らないか?」

「え」

少し照れたように上目遣いで言う美佳の様子に、驚いてしまい…一瞬、動きが止まってしまった。

「帰ろうぜ」

念押しをする美佳。

「…」

無言になってしまった俺の横を、

片桐が通り過ぎた。


「あっ」

俺の口から、声が出た。
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