心の裏側と素肌の境界線を越える為に
それを知るには、俺には経験が足りなかった。


そうだと気づく経験さえも。



授業中も、片桐のことが気になっていた。


(さっきの瞳は…)

どこかで見たような気がした。

なのに…わからない。

少しもどかしさを感じてしまうが、わからないものは、わからなかった。

心の中で、頭を抱えてしまった。


そんな俺の様子を、斜め前に座る美佳が見ていることに、まったく気づかなかった。
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