心の裏側と素肌の境界線を越える為に
それから…俺は記憶がない。

甘く優しい口付けに包まれて、夢の中を彷徨うような感覚だけが、

全身を包んでいた。

意識が現実に戻った時、

俺は見知らぬ部屋にいた。

そこが、片桐の家であると気付いたのは、

隣に裸の片桐がいたから…。

俺は布団の上に、全裸でいた。

体についた自分のではない…においに、初めて俺は、完全に意識を取り戻した。

がばっと起きあがった俺に、隣にいる片桐が声をかけた。

「疲れてたのね…終わったら、すぐに寝ちゃったから」

クスッと、片桐が笑った。

「えええ!」

俺は立ち上がると、自分の下半身を確認した。

その様子を、おかしそうに眺める片桐。

「心配しないで、つけてなくても大丈夫だから」

「ええええ!」

それは、男の俺でも驚く展開だったのに…片桐は妙に落ち着いていた。
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