一週間、魔法使いになります。
張り詰める空気の中、ミミさんが慌ててお辞儀する。
「はっ、はい! 女王さまから遣わされたミミと申します。あのっ、少しお時間を頂けないでしょうか……。柚葉さまが遅くなってしまわれたのも私共のせいですので、あまり責めないであげて下さい」
おおっ、行った! ミミさん見かけによらずしっかり者?
っていうかこんな年で働いてるっておかしくない……? これも、世界が違うせい? 一体いくつなんだろ。
ミミさんが軽く説明をしても、ママの表情は晴れないまま。
ホント、一体どうしたのかなー……? 分からないことだらけで頭がおかしくなりそうです。
「……嫌だと、言ったら?」
「困ります。話を聞くだけでも聞いて下さいっ」
「話を聞いたら、上手く丸め込まれるに決まってる。あなたの主君はそういうのが得意なの、知っているでしょ?」
「……ちゃんと、考える余地はお与えになる筈(ハズ)です。どうか、おねがいします」
そう言うと、さっきのお辞儀よりも深く頭を下げた。そのまま、ずっと頭を上げない。
そんな必死なミミさんを見、ママは苦虫を噛み潰したような顔になる。
あたしが勝負の行方を見守っていると、やがて決着がついた。