婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「じゃあ、行こっか」

そのまま2人でチケットカウンターへ向かうと、上映中のポスターがズラリと並んで貼り出されている。

「何がいいかな」中谷先輩は顎に手を当てて思案する。

上映時間を考慮に入れると選択肢は3つに絞られた。

1つ目は、少女漫画原作の学園モノの恋愛映画だった。

正直私はこれが1番観たい。

高校時代からの憧れの人と学園モノが観られるなんて、こんな萌える事はない。

しかし、この手のストーリーは男性には耐え難い代物だろう。

と、言うわけで泣く泣く却下。

2つ目はホラームービーだ。

即、却下。

こんなん見たら夜道を一人じゃ歩けない。

「私は、これが見たいです」

必然的に3つ目の小説が原作のミステリーを指差した。

「うん、それがいいね」中谷先輩はホッとしたような笑みを浮かべた。

映画のチケットを買ってもらったのでお礼に飲み物とポップコーンを買う。

Lサイズにしたらバケツみたいに大きいカップにポップコーンがこんもりと盛られていた。

「で、でかくない?!」中谷先輩もギョッとする程だ。

「す、すいません…」

私は真っ赤になっていると中谷先輩はおかしそうに笑う。

「貸して」と言って、バケツ盛りのポップコーンを持ってくれた。

初っ端から失敗ばかりだ。

私は小さくため息をついた。

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