婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
本日はsakuでバイトである。

カウンターに立ち背筋をピンと伸ばしながらワイングラスを拭くその端正な横顔に声をかける。

「どうした、ツチノコ妹」

「あの来月シフトを増やしてもらえませんか」

「別に構わないけど、どうした?借金で首が回らなくなったか?」

オーナーは光にグラスをかざしながら言う。

「実は…」

来月は葛城の誕生日でそのお祝いのパーティーがあり、そこにお洒落をしていかないといけない事情を大まかに説明する。

「そんなの葛城少年に買ってもらえばいいじゃない」

いつの間にか沙織さんまで話しの輪に加わっている。

「そうしたら当日の楽しみがなくなっちゃうじゃないか!綺麗な姿を見せて葛城少年を驚かしたいっていう女心だろー。可愛いなあ!いじましいなあ!」

オーナーはワシャワシャと私の髪を撫でる。

「違うんです…。葛城さんの前で大見栄はっちゃったんです…セクシーな姿でビビらしてやる…って」

沙織さんとオーナーは「あっちゃー…」っといった様子で額に手を当てる。

「でも、フォーマルドレスって結構高いわよね。下手したら10万はくだらいじゃない」

「じゅ…十万…」私の顔面は蒼くなる。

「下手に安物着てっても葛城一族にはすぐバレるだろ?」

でも、十万なんて大金を今ドレスにつぎ込むことなんて出来ない…。

やっぱり葛城に事情を話すしかないのだろうか。私はシュンとして俯いた。

「ああ、いいコト考えた!」

沙織さんは手を叩いて大きな目を輝かせた。
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