婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「じゃあ、さ、お礼の気持ちが欲しいな」

出た!プレゼント後のおねだり!匠さんの得意技。

私は身を固くして警戒の視線を向けるが、臆することなく匠さんは妖しい笑みを浮かべ肩に手を回してきた。

「…まだそうゆう気があったんだ」

想定外のリアクションだったようで匠さんはキョトンとしている。

「だって匠さん最近お兄ちゃんみたなんだもん」

えっ…と言ったまま匠さんは絶句した。多分ショックを受けているのだろう。

「私のことも妹だと思ってるんじゃない?匠ちゃん」

燁子さんの呼び方を真似すると嫌そうに眉を顰める。

「燁子にキスしたいとは思わない」

「私にキスしたいと思ってるの?」

全然キスしてくれないくせに…。

口にだすのはハシタナイので憚れたが、替わりに不満気に口を尖らせる。

「思ってるよ。遥と一緒にいるといつもやましい気持ちでいっぱいだ」

匠さんは微かに眉根を寄せるて困ったように微笑む。

「だからキスをしたら、途中でやめる余裕がなくなっちゃいそうで」

さっきはちょっとヤバかったな、と呟き、匠さんは熱の籠もった瞳で私を見つめると、そっと頬に手をあてた。

ああ、こうゆう目で見られるのって久しぶりだ…。

それだけで身体の芯がゾクリとした。

「遥はまだ俺とそうゆう関係になるのは抵抗あるでしょ」

た、確かにまったくないとは言い切れない。

さっきも緊張し過ぎてお地蔵さんみたいに固まっていた。

私は否定出来ずに小さく俯いた。

「嫌がることはしないようにってこれでもすっっげー我慢してるんだから、少しは察してほしいな」

「さ、最後まではまだちょっと無理かもしれない、けど、キスしたい。ものすごく」

私は匠さんの袖口をギュッと握りしめたまま、真っ赤になって俯いた。

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