婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
葛城はビクリと身体を強張らせ、反射的身体を離す。

「やっほー!」

スラリと背が高く長い黒髪の女性が部屋に入って来た。

「お前は…ノックくらいしろよ!」いい雰囲気を邪魔されて葛城はムッとしている。

「ああ、ごめーん」しかし黒髪の女性はてへっと笑い、全く気に留める様子はない。

ベッドサイドまで近づいてくると私の顔をマジマジと眺める。

「この人が匠ちゃんの婚約者?」

くるりとしたアーモンドアイに通った鼻筋が葛城さんとソックリだ。

「あの…お姉さんですか?」

「妹の、燁子だ」妹、を強調して葛城は紹介してくれた。

「森本遥です。初めまして」私はペコリと頭を下げる。

「こんなキュートな婚約者なんて羨ましいわ」何故か燁子さんは悔しそうだ。

「燁子はR大学の1年生だ。同じ歳だから仲良くしてやってくれ」

「宜しくね、遥ちん!」燁子さんは人懐っこい笑顔でニコリと微笑む。

一見、クールビューティーでとっつきにくそうに見えたけど、天真爛漫でいい人そうだ。

「宜しくお願いします」私もニコリと笑い返す。

「自己紹介も済んだ事だし?そろそろお昼にするか」

「もうそんな時間?!」葛城に言われてサイドテーブルの時計に目をやると13:00近くになっていた。

「遥、ご飯食べられそう?」

「うん、お腹空いた…」葛城はクスリと微笑む。

「轟さんにお昼の用意をしてもらうようお願いしてくるよ」そう言って葛城はベッドから立ち上がった。

「燁子、遥に何か着るものを貸してあげて」葛城に言われると、燁子さんは「ふぁい」と気の抜けた返事をする。

「シャワーを浴びて食事の前にさっぱりしておいで」葛城は私の頭をくしゃっと撫でると部屋から出ていった。
< 55 / 288 >

この作品をシェア

pagetop