歪な愛のカタチ
柴課長はうちの営業二課の若き、敏腕課長。
仕事の面じゃかなり尊敬しているその人だけど、仕事を離れるとわりかし割といい加減だし女の子大好きだし。


何かと言えば、キレイどころの多い秘書課に行ってはサボってるような人で、それでどうしてあんなに仕事ができるのか、ものすっごく謎の人だ。


隠してないから俺と杏奈が付き合ってるのは会社中が知ってるのに、柴課長は平気で杏奈を口説いたりしてる。
杏奈と俺の両方をからかう対象にしてるからこそ、なんだけど、時々本気で心配になったりするくらい。





「仁、安全確認週間の意味分かってる?」
「………分かってるよ?」
「安全日の確認じゃないんだよ?」
「……それだって間違ってねぇじゃん…」
「間違ってるでしょ?」

諭すような口調で言われて、なんだかバツが悪くなる。
こういう時に実感するのは、同じ歳って、なんだか自分がすげぇ子供に思えたりするんだよな、って事。



「まぁ、柴課長の言葉は間違ってねぇからいーじゃん」
「え?」
「俺が、杏奈を愛してる、って事……別にいつも隠してねぇんだし?俺、ほんっとに杏奈の事愛してるし?」

テーブルの上の指先をキュッと握ってみれば、杏奈は少し困った顔を見せたけど抵抗はしなかった。
こういうとこ、マジですげぇ可愛いと思う。


よし今だ!!と、俺は確信をして、一気に攻勢を強める。




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