歪な愛のカタチ
「なぁ杏奈…」
「………」
「恥ずかしい思いさせたのは悪かったよ。ごめんな?…許してくれよ……なぁ杏奈…」
上目遣いにご機嫌を窺えば、拗ねたような顔でチラッと俺を見て、まぁ別にいいんだけど、と弱気になった。
「杏奈はさ、女の子の日になると全然触らせてくれねぇじゃん?」
「だ、だって……仁、ちょっとじゃ止まらなくなるじゃない」
「それは……そう、なんだけど…」
ずっとずっと昔の、俺のちょっとしたオイタを根に持ってる杏奈は、女の子の日が始まると、俺が必要以上に近づくのを徹底して避ける。
当然、軽く触れるだけのキスしかさせてくれないし、夜だって別々。
なにもヤルだけじゃないだろ、って言っても過去の事があるから、それに関してはもう、俺を信用してはくれなくて。
「エッチだけじゃなくて、とにかくもう、俺は限界なの!杏奈に触りたいの!分かる?」
「あ、あの…仁?」
杏奈の手をグイッと引いて、その指先にキスをすれば、瞳を彷徨わせながら、杏奈の顔が赤くなるから。
「やっぱもうダメ。一秒も我慢できねぇ」
「や、ちょっと待って。仁、ご飯は?」
杏奈の手を掴んだまま立ち上がれば、真っ赤な顔が途端に慌て出す。
グイッと手を引いて立たせて、一旦ギュッと抱き締めると、一週間ぶりの抱擁に、胸が熱くなってそれだけで腰が痺れるような気がした。
「今日は美味しい美味しいデザートから食べる事に決めた」
ふざけた事を口にすれば、え?と顔を上げようとした杏奈に、思い切り顔を傾けて唇を重ねた。