初恋　二度目の恋…最後の恋
「楽しかった？」


　そんな折戸さんの言葉に頷くと、折戸さんは私と小林さんにタオルと水のペットボトルを差し出す。私たちが遊んでいる間に車までタオルを取りにいってくれたのだろう。でも、そんな素振りは全く見せない。


　
「水で足を洗ってから拭くんだ。」


　タオルと一緒に渡されたのはペットボトルに入った水だった。自動販売機で買ってきたのだろう。渡された水はまだ冷たくて、透明のペットボトルの容器には水滴が付いている。


「飲んでいいですか？」


「飲んでもいいが、半分にしとけよ。砂のついたままの足で靴は履きたくないだろ。坂上ちゃんも飲んだらいいよ。喉が渇いたろ」


　小林さんは嬉しそうにペットボトルのキャップを開けると、ゴクゴクと音を立てながら喉の奥に流していく。私もどうしようかと思ったけど、折戸さんは私を見て笑ったから、私もひとくち口に含んだのだった。


「美味しい」


　冷たいペットボトルの水はたったひとくちだけど、喉にスルスルと流れていく。少しの水だけで、自分がどのくらい喉が渇いていたのかが分かった。


「それはよかった。じゃあ、準備が終わったら帰ろうか？」

「はい」


　車まで砂浜に置かれたデッキを三人で並んで帰る。小林さんは海で遊んで満足したのか走って帰ることはなかった。私はというと…遊び過ぎてこれ以上走れないと思っていたので、ホッと胸を撫で下ろした。


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