初恋 二度目の恋…最後の恋
 高見主任の言葉を聞いて、ドアの陰から小林さんと折戸さんが出てくる。高見主任の視線は小林さんの上を通り越していき、ドアの後ろから出てきた折戸さんに注がれる。


 折戸さんは小林さんのようにバツの悪そうな顔は全くしてない。今の状況を楽しんでいるようにしか見えない。ドアの向こうから出てくる姿さえ優雅さを漂わせていた。


「折戸まで居たのか?」


 高見主任は小林さんだけでなく折戸さんがいたことには驚いたようだった。インターフォンからどこまで見えるか分からないけど、折戸さんの隠れた柱の影は高見主任からは見えなかったのだろうか?折戸さん登場はサプライズ成功??



「すみません。居ます」


 折戸さんがそういうと、高見主任はフッと溜め息を吐いて、私たちの方を見つめる。でも、迷惑そうじゃなかった。大歓迎という感じでもないが、ありのままを受け入れるって感じが高見主任の懐の大きさかもしれない。


 土曜日の夕方いきなり部下が連絡なしに訪れるのは迷惑。それは私でも分かる。でも、小林さんが居なければこんなサプライズは思いつかなかっただろう。


「とにかく入れ。廊下では他の住人の迷惑になる」


「お邪魔します。あ、その前にシャワー借りていいですか?さっきまで海に入っていたので足を洗いたいんです。俺たちはこのままでもいいけど、高見主任は嫌でしょう」


< 113 / 303 >

この作品をシェア

pagetop