初恋 二度目の恋…最後の恋
 ソファの方を見ると、折戸さんの手にはビールが持たれていて少しだけホッとする。折戸さんは車で来ているからお酒は飲めないと思っていたけど、飲んでいるということは小林さんも私も飲んでいいということ。でも、私はそんなにお酒が好きというわけでもないので…。


「私はお茶を貰ってもいいですか?」


「ビールじゃなくていいの?」


「はい」


 高見主任は冷蔵庫からビールとペットボトルのお茶を取り出すと小林さんと私に渡すと私にはソファに座るように手を軽く差し出す。三人掛けのソファにはすでに折戸さんが座っていて、一人掛け用のソファは高見主任。そして、小林さんは…ラグの上にそのまま座る。


 私もラグの上に座ろうかと思ったら、高見主任がそれを止めた。



「坂上さんはソファにどうぞ」


「でも、小林さんが…」


「蒼空はいいんだよ。ソファより直に座る方が好きなんだから」


「そう。俺はここが好き」


 小林さんはラグの上で胡坐を組み。自分の家にいるような寛ぎさえある。小林さんは高見主任からビールを貰うとぺこっと頭を下げてからプルタブに指を掛けたのだった。プシュッと音がして…。飲み口のところに少しの泡が付く。それを嬉しそうに口を着ける小林さんを見ながら、本当にこのままでいいのだと思った。


「ほら、蒼空もそういっているから坂上さんも気にしないの。折戸から今日のことを聞いていたよ。随分、楽しかったみたいだけど」


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